自動車塗装の研磨【その3】PROの研磨とDIY研磨の違いと諸注意
※今回のブログは5つに分けて書きます。このブログは【その3】です。
さて。。。今回の【その3】では【その1】と【その2】をしっかり守った上で初めて行える研磨に関しての諸注意やPRO作業とDIY作業の違い等のお話をしたいと思いますが車の塗装とは先のブログのように正しい洗車やメンテナンスを行って完璧に維持ができたとしても車の塗装とは走行しているだけで傷が入る場合もありますし不運にも飛び石を食らってしまうこともあればバイクや自転車にひっかけられたりドアパンチを食らうこともあります。
また当店の洗車方法以外の洗車方法ではどんなに優しく洗車を行ったとしても必ずそれなりの傷が入り場合によっては研磨で消す事が難しいレベルの傷すら入ってしまいます。
そんな沢山の傷が入って艶を失ってしまった塗装。
塗装は人の肌と違い、一度傷が入ってしまった場合、自己再生することはなく、入ってしまった傷は研磨によって塗装を削って消さなくてはなりません。
※このブログのユーザー様であればお解かりだと思いますがスクラッチシールドやセルフリストアリングコートは現実的に自己再生しませんのお気をつけ下さい。
※当店のHPにも記載がありますが基本的に艶はコーティング剤で出すのではく磨きで出します。コーティング剤で出せる艶は少しだけです。
塗装を磨く言う行為は有限の存在でもあり髪の毛1本程度の厚さしかない塗装を薄くする行為である事から本来であれば車の塗装を磨くという作業は塗装密度を低下させ、また膜厚を低下させることになるので傷や塗装に落ち込んだ染みを消す事が出来たとしてもその変わりに塗装その物の耐久性等の強度が低下してしまう事から塗装を研磨すると言うことは諸刃の剣であり出来る事なら磨かないに越したことはありません。
※磨くと言う作業は完全にマイナスだけの世界であり磨くと作業は傷を消して艶を出せる代わりに塗装その物を犠牲にしていると言えます。
※塗装が薄くなるデメリット等は過去のブログや琺瑯層ブログをお読み下さい。
※物知らぬ業者の中には柔らかい素材のバフであれば塗装もコーティング膜もダメージが入らないとの発言をしている場合がありますのでお気をつけ下さい。
美観を意識しないで塗装保護を優先として考えた場合。。。
【出来る事なら磨かないに越したことはない】
※後に記載致しますがコーティング剤で誤魔化せるのなら誤魔化し続けたほうが塗装には良い結果になる比率が高いです。ただし塗装への攻撃性が高いコーティング剤ではNGです。
これはどんなにハイレベルな職人が高性能でカスタムされた研磨機等を使用したとしても同じでありそもそも人の手で塗装と言うミクロンの世界を完全にコントロールする事は不可能でもあります。
※美観を求めるのであれば研磨は必須でありますが。。。
なので当店では【新車時から有限でとても薄い塗装を如何に削らないで済むような洗車とメンテナンスが重要】と言い続けている訳であり名実ともにこの手のパイオニアでもあります。
※これの考えをまとめてプロテクロン保護システムとして特許庁登録商標を取っておりこの業界で唯一当店だけがこのポイントを強く主張しいる状態です。因みにこのプロテクロン保護システムはPRO施工店としての利益を無視した考えなので当店のように利益よりも塗装を優先にしないと成り立たないシステムでもありますのである意味では表向きとしてはPRO施工店から嫌われるシステムですが【その2】のように世間の認識と洗車の重要性がしっかりと理解出来た場合、むしろ当店の考え以外の選択肢はほぼ皆無になるかと思います。
幸いな事に多くの方から支持を頂き不動として認識が確立されてきておりますがまだまだ広まっていない現実と忙しい現代社会の中で丁寧に洗車を行っている人も多くはない事から現場に入ってくる塗装の多くがボロボロで傷だらけであることがほとんどです。
また正しい研磨方法を理解できていない業者があまりに多いことから仮に新車であったり、PRO施工店で作業をしてもらった塗装だとしても洗車傷や修正傷、研磨傷が沢山入っているような状態であることもまだまだ沢山あります。
※恐らく7割以上。。。
特にPROの研磨の場合、綺麗に磨く為の最低条件としてテクニックや機材の問題の前に見える環境で作業を行わなくてはなりません。
※http://d.hatena.ne.jp/tktktaka/20150118
※上記ブログ、春ぐらいに修正すると言っておきながら忙しすぎて足りない条件の追加記載がまだ完了しておりませんのであくまで最低ラインであり、その語のブログも合わせて読んでください☆それでも上記ブログ内容はハイレベルな作業を行う上で最低限な内容ですのでしっかりと読んで厳守でお願いします!!!
これは上記過去のブログにも何度も書いてますが研磨機の種類や磨き方よりも何より作業環境を整える(ブラックブースに暗室スポット)事が最低限であり最上級となります。
この『作業環境を整える』と言う事は次世代クヲリティで言えば初歩中の初歩の条件でありこのような条件で作業を行わないのであればそもそもが自分の作業レベルを自分自身で正確に理解出来ず、お客様にお出しする作業報告書すらまともに作れませんし作れたとしても教科書通りの世界やメーカーから出されている説明しか出来ません。
※作業環境、即ち『見える環境』で作業をしないと言う事は医師がレントゲンやCT、MRIを使わないで手術を行う事と同じ行為になります。
何よりお客様に正確な塗装状態を説明することが出来ませんので塗装の医師である磨き屋としては致命的でありお話にもなりません。
※http://d.hatena.ne.jp/tktktaka/20150118
※私は意味の解らない資格や立場を付与するのではなく最低限の作業設備を規準にすべきだと思います。そしてこの事を理解していない事には今後生き残れないと思いますし当店も含めこの事を解っているメーカー等は既に水面下で色々と動いてます。
はっきりと申しますと長年の経験やヤマ勘がゴリ押しで通るほど現代、インターネット社会のユーザー様の認識や主観は甘くありません!
ちょっとしたミスですらしっかり見てますしいい加減な作業をして不満を抱えているユーザー様の多くがセカンドオピニオンを全国的にやっている当店にほぼ必ずと言っても良いほど相談のお問い合わせをしてきます。。。
※訴訟問題になっていること、その他、聞いてるだけで恐怖するような物騒なお話も含めて。。。様々な相談がきます。。。
そしてこんなお話をしてしまうとDIYのように特別な照明もガレージも無い場合は諦めろということか?
この様に思われてしまうかと思いますが嘘は言えませんのはっきりと申します。
DIYでは限界があります!
※あくまでPROレベルと言うお話なので最後までこのブログをお読み下さい☆
どんなに頑張っても超えられない壁があります!
これは仕方ないことでは御座いますがDIYの場合、ガレージ内での作業で特殊照明等を使用出来ない時点でどこかで妥協しなくてはなりませんし出来る事と出来ないが明確になってしまいます。
ではDIY作業とPRO作業では何が明確な違いになるのか!?
1つ目です!
DIYですのでほとんどが野外作業であり仮にガレージ作業だとしてもブラックブース&特殊照明が無いことから自分のお車の正確な塗装状態が見えません。
※逆を言えばDIYの場合照明等が無い事からこそせめて下地処理は徹底して行わないとより塗装の正確な状態を見れません。
また野外ですので日光の角度や様々な乱反射等によって【見えない環境】だけではなく常に一定の見え方ではない流動的な見え方になります。
この様にDIYでの野外作業では照明がないから見えないだけではなく雑光や乱反射等によって常に一定に見ると言うことすら難しくなってしまいます。
様々な条件によって見え方等が変わる野外での作業。。。
本来では一番重要であり作業計画書とも言えるその塗装合わせた一定のルールや作業基準を作る事が非常に難しくなり作業リスクが無条件で高くなってしまいます。
更には基本となる作業規準を作れない時点でPROの作業環境と同じですが自分の技術が向上しにくくなってしまいます。
※指標となる規準を作った上での積み重ね&応用が技術向上の基本だと思います。
また、言い方を変えれば【見えない環境】での作業は必ず自分の作業に斑が出るためどれが自分のベストなのかを自分自身でも解らなくなってきます。
解りにくいでしょうか?
詳しく説明すると、本来であればAと言う塗装をB色と言う背景でCと言う照明をDと言う角度でEと言う距離で見てFと言う研磨機とGと言うバフ、Hと言う研磨剤でIと言う磨き方でJと言うプレッシャーとKと言うモーションでLと言う時間を行ったMと言う結果を作業者は一つの規準として自分の経験に消化することになります。
※最低でもA〜Mが基本でありその他細かいテクニックやカスタマイズが入りますのせA〜Zぐらいまでは普通に出てきますしそれを塗装毎に合わせてマッチングを取っていくのが基本的なPROの世界です。
そして経験、即ち同じ環境で規準(スタートライン)を設けた上で作業台数が多くなれば多くなるほど上記A〜Mまでの個別の差が出てきたり結果が異なってくることが情報、経験として蓄積されることで職人としてのレベルが上がっていきます。
※言い方を変えれば見える環境で作業を行う事でレベルが上がっていることに気がつきやすいです。
※さらに言い方を変えれば見える環境で作業を行う事で自分の作業に自信を持てます。勘違いも甚だしい人も多くいますがこの業界PROなのに自分の仕上がりに不安がある人が多すぎます。それは規準がない事から自分の作業レベルがどうであるかの判断が出来ないからである事が様々なPROへの講習をして思う率直な感想です。
だからこそ技術を向上させるには先ず基準を作らなくてはならない。
※これを理解しないうちに4時間程度で仕上げられるホニヤララ等の狂言を大々的に言う団体が生まれ余計本質が見えにくくなります。導入していないと仕上がりに差が出るとか。。。あれ本当に腹立ちましたからね(怒)そもそもがあの角度で○以外の何が見えるのでしょうか???まぁ時間の問題ですけどね。。。
そして千差満別ある塗装状態であるからこそ如何にマッチングが全てであるか!
PROであれば作業環境が整わないのであれば長年の経験だとかヤマ勘だとかの根拠がないあやふやな世界になってしまうのです。
※この結果が○○だったり△△、□□等の不満につながるわけです。。。
仕方がない事ですがDIYの場合、無条件でこのようなあやふやな世界になってしまいます。
勿論、野外と言えども何度も何度も同じ事を繰り返す事でちょっとした変化やコツ、この日光の当たり方の場合だとやり易い、この湿度だとキレ方が変わる等その他沢山のことが理解できるようになり技術の向上につながりますがあくまで確実性は低くなってしまいますし何度も試行錯誤するほど車の塗装は頑丈でも厚くもありません。
※逆に野外で複数の車両を作業しているPROよりも常に自分の車1台の塗装を毎回見ているDIYの方がこの手の事を知っている印象があります。
繰り返しますが野外だと自分がやっている作業がより解らなくなります。
何より見えない!
※塗装カラーや様々な条件等によっては磨いたら色が変わった等のレベルしか解らない。
塗装に存在している大きな傷は見えるけど研磨機を使うことで入る細かい研磨傷が見えないからこと僅かな変化による違いを視覚的に判断しにくくなります。
これはどんな研磨機を使用してもこの状態に陥り繰ってしまい、返しになりますがあやふやな認識で作業をしなくてはならないのがDIYの宿命でもあります。。。
そしてこの延長線上に起こりうるのが大きな傷は消えたけど塗装が白っぽくなってしまった!
※ブラック塗装等の濃色カラーの場合は気が付きやすく淡色カラーでは気がつきにくいです。
※研磨機等を売るメーカーさんの場合、この問題に気がつかないユーザー様からのクレームに苦労されたかと。。。
こんな白ボケ問題に繋がることが非常に多いです!
繰り返しますが特殊な照明等がなく様々な角度から雑光が入る野外や半野外等のDIY環境の場合、自分が操作している研磨機によって入る研磨傷が見えません。
※油性研磨剤や水性でも実質油性のような研磨剤がPROの現場では無駄に塗装を削るだけではなくお話にもならないことがご理解頂けるかと。
なのでついつい強く研磨機を押さえつけてしまったりします。
※そもそもどの程度研磨機を押し付けたほうが良いかすら解っていないことがほとんどです。
特に近年ではリョービやマキタ等の低パワーデュアルアクション(ダブル)研磨機が磨き傷が入らないから素人には安心と言われており、私も素人の場合であればこの手のデュアルが無難であるとは思っておりますがパワーが低いと勘違いをする方が非常に多い事からついつい強く押さえつけてしまうような磨き方をしてしまい取り返しが付かなくなってしまったケースも相談内容として当店には沢山報告があります。
そもそもが低パワーと言っても研磨機、即ち機械であることは変わりありませんので低パワーデュアルアクションでも繊細な塗装と言う存在は簡単に多くの磨き傷を塗装に入れてしまいます。
※私はこの手の研磨機が弱いと感じたことがありません。むしろ使い方、条件が合えばルペス等より強さを出すことが出来ます。
ですがある意味ではそのパワー通りの結果しか出せないケースも多い事から作業時間が長くなってしまったり塗装によってはマッチングを合わせても切り込みが足りないと感じるような結果になると感じる人もいるかもしれません。
※切り込みが甘いとPROが感じた場合、作業時間を短縮させる為に作業レベルが低下したとしても、無駄に塗装を削ることを解っていてもハイパワー研磨機や研磨剤を使ってしまう事が非常に多く、問題になっております。
※研磨は1〜100までの全てのパワーが必要ですので不必要なものは存在しませんことからパワーが強ければ良いパワーが弱いから安心とは限りませんのでご注意下さい!
これに関係することですがよく上がる声として、見えない環境であるDIY研磨で低パワーデュアル研磨機を使いスクラッチシールドやセルフリストアリングコートを磨いたら、艶を出すどころか白ボケしてしまったり最悪のパターンでは白ボケしただけで傷も消えない!だから艶出し剤を塗りこんで誤魔化した!
※DIYで自分のやっている作業状態が正確に解らない場合ですとこの手の高弾性塗装や欧州車の高密度塗装等は敷居が高いのが現実です。
※高弾性塗装を油性研磨剤や水溶性でも実質油性のような水溶性研磨剤で磨いていると『磨けている』との勘違いをしやすいのでご注意下さい。
こんな状態になるとの相談が現在進行形で非常に多くあります。
※白ボケに関しては後ほど画像でご紹介致します。
DIY作業の中で限界がある1つとしてはこのように見えない環境での作業なので自分のやっている作業状態を施工者自身がしっかりと見えない!理解しにくいことから正しい研磨方法を模索しようとしているうちに取り返しがつかなくなるような結果になってしまったり塗装特性等によってはこのようなにDIY環境下では実際に限界があり、何処かで妥協をしなくてはならない結果となることも覚悟しなくてはなりません。
※特に高弾性塗装はお気をつけ下さい。
※余談ですが見えない環境での作業の場合、上記説明通り、作業規準を作りにくい事から自分が使用しているケミカルやコート剤、研磨剤等の製品比較すら精度の高い評価が出来なくなってしまいます。
ではDIY作業とPRO作業では何が明確な違いになるのか!?
2つ目です!
ガレージ内作業が出来ない時点で常に砂埃を気をつけなくてはなりません。
車の塗装とは基本的にその辺りに落ちている砂粒よりも柔らかい存在です。
※詳しくは洗車マニュアル等に記載があります。
そんな砂がたった1粒。。。風によって塗装面に落ちてその場所を研磨機で磨いてしまった場合!
運よく砂粒がバフの中に入り込んでいるのであれば問題が出ないこともありますがそうでない場合、致命的な傷を入れてしまう場合があります。
※塗り直しをしないとならないようなケースもあります。
※似たような理由ですが常にバフをクリーンにしなくてはならない理由でもあります。
DIYでの野外作業の場合。
絶対に風がある時に研磨を行ってはいけません!
ある種、1つ目に説明した『見える環境下での作業』よりも重大なことであり取り返しがつかなくなってしまう場合もあります。
また当たり前では御座いますが仮に風が無くても畑の横等で作業することもお勧め出来ませんので出来るだけお控え下さい。
仮にどうしてもそんな環境でしか作業が出来ない場合であり塀で囲まれた庭等であれば。。打ち水をしてから作業をして下さい☆
そして当たり前すぎるのですが研磨を行うから下地処理を適当で済まそうとの考えは絶対にNGですので研磨を行うなら必ず研磨リスク軽減の為に、洗車後にREBOOTだけは必ず使用してから研磨を開始して下さい!
さて。
如何でしょうか?
この2つがPROとDIYでは決定的に違う点でありどうしても超えられない壁になります。
※ぶっちゃけるとこの2つさえクリアすればPROの仕事なんてある程度レベルであれば簡単に出来てしまいます。。。☆
そしてここでよく理解して頂きたいことがあります。
これは腕がない人間であればあるほどよく言う言葉。。。『もっと高性能な研磨機がなきゃ綺麗に磨けない!』
基本的に研磨機の種類によって仕上がりは大きく変わりません。
確かに使いやすい使いにくいはありますしハイレベルなPROの現場レベルであれば研磨機の種類による違いも大きく出る場合もありますしシングルやギア、デュアルのような違いでは更に大きく結果が異なることもありますが上記で記載した2つの要因が整っていない時点でシングルでもデュアルでも磨傷の種類や大きさが変わるだけで同じように磨き傷だらけになってしまいますのでそもそも研磨機の種類は特に悩む必要もありません。
※この内容は過去のブログに書いてます。
DIYと言う厳しい条件の中で言えば研磨機による違いよりも研磨機よりもバフと研磨剤選定のほうが100倍重要でもあります。
※それでも私はシングルだけは使いませんしギアもほぼ使いません。
これからDIYで研磨に挑戦したいと思っている方に。。。☆
【その4】で説明しますがとりあえずはデュアルであれば何の研磨機でもOKです☆
【その4】に続きます。